第3ステージ:海と風、峠と坂の「福岡ステージ」

最終日の10月14日は午後1時半に福岡県岡垣町の岡垣サンリーアイをスタートし、約7キロのパレード走行を経て宗像市との市町境をなす垂見峠で実スタートが切られる。
ロードレースはいきなりスタートするのではなく、5~10キロ程度のパレード区間が設けられることが多い。今大会も全てのステージでパレード区間が用意されている。パレードといってもお祭りのパレードではないが、市街地を集団が一つになって走行することで顔見せの役割をしたり、実際のスタートを切る前に機材のトラブルがないかをチェックしたりする。試合前のウォーミングアップやモータースポーツのフォーメーションラップのようなものだ。
第3ステージはパレード走行のあと、約14キロの周回コースを9周する。その後は宗像市上八(こうじょう)にあるラウンドアバウトで周回を離脱し、宗像大社のゴールに向かう。フィニッシュは午後4時40分頃と予想されている。
勝敗に大きく関係するのが周回区間だ。しっかりとした峠の風景を見せる垂見峠の登坂区間と、鐘崎港から波津海岸までの玄界灘沿いを走る平坦区間の二つの局面があり、2周目、5周目、8周目の波津海岸通過時にはスプリントポイントが付与される。スプリントポイントでは個人総合時間から数秒を減算するボーナスタイム制度もあるため、第2ステージまでの戦いがもつれていたら、スプリントポイント通過時の位置取り争いも活発になるとみられる。
ツール・ド・九州が海沿いを走るのは初めてで、海からの風にも注意を向ける必要がある。当地の波津という地名からも風が吹きそうな印象を受けるが、町広報誌などによれば地名自体は神功皇后が旗を立てたことに由来しているという。とはいえ風が吹かないという保証はなく、ひとたび吹けばロードレースをより厳しいものにする横風となる場合もある。地元チームVC福岡の向川尚樹選手はテレビやラジオ番組などでコース紹介する際に、周回コースのタフさと横風を警戒点に挙げ、エースを守るための献身的な動きに目を向ける(TVQ九州放送の記事)。
大きな集団でのスプリントになるか、周回コースで細切れになってのゴールとなるかは分からないが、福岡県大牟田市にゴールした昨年の第1ステージと同様にサバイバルな展開は十分に想定される。
毎日が最難関ステージの様相を呈す今大会は、どこが優勝してもおかしくないレースになりそうだ。実力ではUCIワールドチーム登録とUCIプロチーム登録の計4チームが抜けているものの、地形の特徴を細かく把握できているチームが地の利を生かしたり、積極的に前方でレースを動かしたチームが金星を得たりするかもしれない。どのチームが最終日の宗像大社で最高の笑顔を輝かせるか、今年のレースも必見だ。