
国内外から17チームが参加する自転車ロードレースの国際大会「マイナビ ツール・ド・九州」が10月11日から14日まで、九州北部で開催される。2年目となる今大会は初日に北九州市でエキシビションレースを行い、2日目から大分県、熊本県、福岡県の順に巡って優勝を競う。
昨年に引き続き今年も一介のファンの視点から魅力的なレースを概観していく。
2023年大会が見せたレースの位置付け
ツール・ド・九州は2023年に初開催され、ライセンスヒエラルキーで1部に相当するUCIワールドチームのアスタナ・カザクスタン(カザフスタン)に所属していたアンドレイ・ゼイツ選手が個人総合優勝を飾った。また、地元福岡県みやま市出身の兒島直樹選手(ブリヂストン)が小倉城クリテリウム(エキシビション)と第1ステージで区間優勝し、定点の通過順位などを点数化して表彰するポイント賞でもトップに立つ活躍を見せた。
そんな初回大会は、あまたあるロードレース大会の中で、ツール・ド・九州がどのような位置を占めていくかが少し見えてきた大会にもなった。
総合1位のアンドレイ・ゼイツ選手と2位アントニオ・ニバリ選手は昨シーズン限りで引退。長年アシスト役として活躍してきた彼らにとってエースを任されるレースは少なく、現役時代の最高成績とも言える結果を残して後進に道を譲った。ゼイツ選手らをアシストした若手のニコラス・ヴィノクロフ選手は今年、ツアー・オブ・ジャパン第5ステージで区間優勝したほか、最高峰大会の一つブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン)のメンバーにも選ばれて完走した。

過酷な第2ステージで3位に入った留目夕陽選手は今年、EFエデュケーション・イージーポスト(アメリカ)のトップチームに昇格し、ヨーロッパで活躍の場を広げている。また、トレンガヌ・サイクリングチーム(マレーシア)に所属していた中堅選手のジャンバルジャムツ・セインベヤール選手(モンゴル)は2部相当のブルゴスBHに移籍。マトリックスパワータグのゲオルギオス・ボウグラス選手(ギリシャ)もブルゴスに活躍の場を移し、ステップアップを果たした。
ベテラン選手にとっては若手にバトンを渡していく大会であり、実力を高めてきている若手や中堅選手にとっては成長を確かなものとする場でもある。活躍してきた選手と活躍していく選手が融合する4日間だと言ってもいいかもしれない。シーズン終盤の開催ということもあり、所属チームのジャージーを着て走る最後のレースになる可能性もある。この時期ならではのプライドを懸けた走りに注目したい。
レースカテゴリーは「1クラス」
ツール・ド・九州は、国際自転車競技連合(UCI)公認レースのクラス分けの中で3番目のレース群に当たる「UCIコンチネンタルサーキット1クラス」として開催される。今年はツアー・オブ・ジャパン(TOJ)がカテゴリーを下げて2クラスに移行したため、レースの器としては国内最高峰のステージレースとなる。詳しくは下図も参照してほしい。


参加するのは17チーム。当初は18チームで行われる予定だったが、10月8日に1チームの辞退が発表された。
コンチネンタルサーキット1クラスは世界トップレベルのチームが参戦でき、今大会では1部相当のUCIワールドチームからアスタナ・カザクスタン(カザフスタン)とEFエデュケーション・イージーポスト(アメリカ)が出場。チームヒエラルキーで2部に相当するUCIプロチームからはコラテック・ヴィーニファンティーニ (イタリア)とトタルエナジー(フランス)が初参加する。
そのほかの13チームは3部に相当するUCIコンチネンタルチームに登録している。ヒエラルキーの3部相当とはいえ、アジアやヨーロッパで実績を積んできているチームが多く、レベルは高い。今年も九州で、本場のヨーロッパに負けない熱いレースが楽しめそうだ。